しげるlog

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3分で分かるJASRAC問題の本質

ヘイトを集めている集団でランキング作ったら日本で3位以内に入りそうな嫌われっぷり、日本音楽著作権協会(JASRAC)。


2017年2月には音楽教室から使用料を徴収すると言い出して炎上、

JASRAC、音楽教室から著作権料徴収 10年間、埋まらなかった両者の「溝」


11月に入ったら映画での音楽使用料を興行収入に合わせて徴収する、と宣言してまた炎上。

JASRAC、映画音楽の上映使用料を引き上げへ 劇場側は「死活問題」と反発

 

 

炎上マーケティング知名度をあげようとしてるのかと思うくらいの嫌われっぷり。
安心してほしい。炎上マーケティングなんかしなくてもその名前(悪名)は広く知れ渡っている。

 

JASRAC問題について、そのやり口を批判する意見は多数出ているものの、
構造としてどうなっているから問題なのかを指摘する意見はないため、考えてみたい。

 

 

 

JASRAC問題の本質

著作権者や一般消費者の思いとJASRACの任務がもともと相容れないものだ、
というのが問題の本質だ。
JASRACを擁護する意見のほとんどが「彼らは一生懸命仕事をしているだけ」というもの。
では、JASRACが一生懸命仕事をするというのがどういうことなのかというと、単純化するとこういうことだ。

 

・権利者の著作権を侵害している音楽利用者がいる
・音楽利用者に対して、音楽の仕様をやめさせるか、対価を払わせる
・支払われた利用料をルールに則って権利者に分配する
・一部の利用料は音楽文化の振興にも用いる

 

この「権利者の著作権を侵害している利用者」というのがクセモノで、
著作権法に照らし合わせれば立派な侵害行為なんだけれど、
著作権云々を考えて生きていない一般利用者からすれば
「こんなものにも適用するの!?」と言いたくなる。

 

例えば
・レストランや飲食店でBGMとして演奏したり流したりする
・スキー場やスケート場などでBGMとして利用する
・結婚式を盛り上げるためにBGMとして利用する
・街の商店街やスーパーで買い物のBGMとして流す など

 

繰り返しになるが、これらは権利者の著作権を侵害する行為だ。
著作権とは、「権利者が作った音楽を勝手に広めたり、使用したりさせない」ための法律だ。
だからJASRACは取り締まる。著作権を管理し、権利者の著作権を守ることが彼らの使命なんだから当然のことだ。

かくして、JASRACが仕事に励めば励むほど、街から音楽を消そうとしている、などといった批判を浴びることになる。


それでも、JASRAC著作権の権利者がしっかり同じ方向を向いているのであれば一般利用者からの理解も得られやすいのだが、実際はそうなっていない。

ミュージシャンにとって、自分が作った音楽を沢山の人に聴いてほしい、街にあふれるくらい流れてほしい、と思うことは当然の欲求だと思う。
ストリートミュージシャンたちを見てみればわかるよね。


そこでも著作権法は逆の方向を向いている。
「権利者が作った音楽を勝手に広めたり、使用したりさせない」ための法律だから勝手に街にあふれてもらっては困るのだ。

 

ミュージシャンにとっても著作権を守ってもらうことは大切なのだが、一方で沢山の人にも聴いてもらいたい。
音楽を聴くのも買うのも一般利用者なんだから、その辺もうちょっとよしなにやってーや、ということになるのだ。

 

 


図にするとこんな感じで、今のJASRACは一般消費者からも権利者からも不評を買ってしまっている。

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一部にはJASRAC著作権管理に深く感謝して感銘を受けている権利者もいるのかもしれないが、なかなか伝わってこない。

 

え!?気にしてたの?

こういった構造上の問題を抱えながら、ミュージシャンを抱き込むような策もなければ一般利用者におもねる様子もJASRACからは見られなかったので、勝手にノーダメージだと思っていた。

 

「法律も知らん愚民どもがなんか言っとるわ。バーカ」

くらいに思ってるんだろうなあと勝手に想像していたのだが、「カスラック」呼ばわりを実は気にしていたらしい。

headlines.yahoo.co.jp

 


仕事の構造的に一般利用者と相容れないものなんだから、悪感情を和らげたいなら、相応の手を打たなくちゃ叶うはずがない。

少なくとも、理事が一般利用者とレスバトルしたり、

netgeek.biz

カーステ用にもう1枚CD買えなんて言ってる場合じゃないわけだ。

www.pointtown.com

この人たち、頭はいいんだろうけどお客さん対応やらせちゃいけない人種の典型だよな・・・

 


JASRACの仕事の一つに音楽文化の振興というのがあるが、これを利用しない手はないと思う。

 

が、この文化振興の行事がすこぶるイケてない。

参考にいくつか今年のイベントの概要を引用してみる。


日本の歌謡史を彩った作家達シリーズ 昭和の歌人たち 第35回 永六輔~「黒い花びら」「上を向いて歩こう」~



JASRACシンポジウム「カラオケ著作権管理30年」

 ※ニコ生で放送

 


アカン、目眩してきた・・・

上を向いて歩いてないで、少しは目の前の現実見てほしい。


現役でCDを買ったりApple Music登録したり、YoutubeでMV見ている利用者の何人がこのイベントに申し込んでくると思ってるんだろうか。

 

感情を和らげたい層と、施策でリーチしようとしている層が根本的に間違っている。

この施策を年間100回やろうが100万回やろうが、Twitterのリプライで叩かれ続ける現状は変わらない。

こんなイベントに彼らは来ないし、こんな番組なんか見ない。


ぼくが企画するなら、とりあえずサザンオールスターズMr.Children星野源とPurfumeとEXILE西野カナを呼んで、東京ドームで「JASRACフェスティバル」を無料開催、これ。

 

これくらいやればネットで「カスラック」呼ばわりしている人たちにも心意気が伝わるというもんだろう。


あ、こんな企画開催したら、「その金はどっから出てくるんだ」ってまた叩かれちゃうか。

文化振興って難しいですね。

 

それでは、また。