しげるlog

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約10年間勤めたSIerを退職しました。

f:id:okamoto8280:20190930194027j:plain 2019年9月30日をもって、約10年勤めたSIerを退職します。
前職を退職して、新しい場所で勤務を始める前に今考えていることを記録として残しておきたいと思ってエントリを書きます。

■これまでのあゆみ

ぼくがどんな人間で、だいたいどんなキャリアを歩んできたのかをまず書いておきます。 お前の個人的事情なんて興味ねーんだよ、という方はスキップしてください。

リーマンショックによって苦しい就活、文系(どころか文学部)からSIerへ新卒で就職。良く取ってくれたよなあ。
・公共系のSEとして、官公庁の案件とか、大手企業向けの典型的ウォーターフォール開発を経験。
・エクセルで画面のスクショを取って試験のエビデンスにするような、ネット文脈的にはSIer(笑)な仕事も経験。
・経験していた業務分野がGIS関連のものが多かったため、いつの間にかGIS系のPoCなんかを少人数で実施するように。
・社内のR&Dの人と協同しながら海外の関連企業の技術を日本で売るためのパッケージの開発に関わったり、
スマートフォン向けのアプリ開発ディレクションしたりするような仕事をしてきました。
・と思いきや、また大きめなお客様向けのウォーターフォール開発案件のPLとしてアサイン。

なぜ退職するのか

端的に言うと、
自分がやりたいことをやるならSIerじゃないと思ったからです。
小規模のスマホアプリの開発や最新技術を使った商品企画など、いわゆるSIerらしくない仕事を経験させてもらう中で、次第に「旧来のSIerって将来いらなくなるんじゃね?」という思いを強くしました。

インフラはAWSGCP、Azureといったパブリッククラウドを使えば短期間で、簡単に高い性能のものを使うことができます。
アプリ部分も旧来のSIerが得意としていたウォータフォールでの開発ではなく、アジャイルやプロトタイピングを駆使して開発することが増えてきました。
(大量の設計書を作って、コーディングできない人がレビューをして、をやっている時間があれば、チャチャッと作ってしまった方が価値が高いよなあというのが現場にいての実感)
簡単な機能であればサーバすら不要でスクリプト1つで実装できる時代にもなっています。
かつて、顧客の抱える課題をIT(システム)に転換することが、一般のビジネスパーソンにとって困難だった時代に、課題と技術の翻訳屋として価値を発揮していたSIのビジネスモデルは、今日のように誰でも簡単にシステムを作ることが出来る時代になったことで、役目を終えたのではないかと感じたのです。

すぐにはSIerが無くなるとは思っていません。中央省庁や金融機関向け基幹システム開発など、ミッションクリティカルな性質を持った開発は、SIerでなければできない仕事として残り続けるでしょう。
ですが、いろんな案件を経験する中で「SIerが生存できる大規模開発の領域」で仕事をするよりも、小規模でも新しくてチャレンジングな案件に取り組んでいる方が楽しいことに気付きました。

社内で公募制度を使って異動することも検討しましたが、10年という長い期間同じ会社で仕事を続けてきたので、このあたりで市場に出て自分の価値を確かめてみたいという思いもあり、転職を前提として考えるようになりました。 新天地を外に求めることを決めてからは積極的に転職活動を始め、幸いにも何社か内定を頂くことが出来ました。

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■前職について

良かったところ

退職するとはいえ、前職の会社に対しては心から感謝しています。
文系で全くスキルもなく、 新人のくせにサービス開始当日に寝坊してしまうような(恥ずかしながら実話です) クソ新人だった自分をここまで育てて頂いたことには恩義しか感じていないです。
前職の会社を就職先として考えている学生さんや転職先として検討している方に特にオススメできるポイントは以下の点です。(とか言って会社の実名は出していないのですが・・・)

①非常に緻密で合理的な思考をする人が社員の多くを占めている文化

一番はこの点だと思います。とても合理的に、緻密に考える人が多い会社でした。 合理的な人が合理的に意思決定するため、プロジェクトにおける意思決定や進め方についてストレスを感じることは少なかったです(意思決定の基準が"現行通り"に寄り過ぎと思うケースはありましたが)。
加えて言うならば、論理的なだけでなく倫理的にも優れた、いわゆる「良い人」がとても多い会社でした。
10年も働いていましたが、理不尽な理由で叱責されたり、声を荒らげられたりしたことはほとんどありません。優秀な人といい人間関係で働ける、というのはひとえにこの企業文化の為せる技だと思います。

②プロジェクトを遂行するための人/モノ/金のリソースの潤沢さは国内随一

独立系SIerでは最大規模のリソースを有しているといっていいでしょう。 セキュリティ、ネットワーク、データベースなどITプロジェクトを遂行していく上で必要となる要素に対して、 国内でも随一の技術力と知識をもったプロフェッショナルがいる会社です。 使える予算の大きい案件であれば、そういったプロフェッショナルの知見と能力を活用しながらプロジェクトを遂行できます。

③事業領域が広いので、やりたいことはどこかの部署がきっとやっている

入社したときの理由にも繋がりますが、本当に幅広い事業領域を持っています。旧くは公共/金融/法人で区別していましたが、現在では流行のAIもIOTもコンサルティングも、データビジネスも、ありとあらゆる事業に手を出しています。社内の公募制度などを活用することで、自分のやりたいことがきっとどこかで出来るはずです。

思うところ

・職場ガチャ(配属ガチャ)の当たり外れがすごく大きい

いわゆる大企業の全般に言えることですが、配属ガチャ/職場ガチャ/上司ガチャの当たり外れの落差がとても激しい会社でした。(ぼくの場合は周りの人にとても恵まれていましたが、そうでない事例も少なからず見聞きしました。)
中途入社であればかなり運の要素は排除されて、やりたい仕事に就けることかとおもいますが、新卒に関しては市場価値の高いスキルが付く職場に入れるか、そうならないかは運の要素が大きいです。
今後の労働市場で人を獲得できるかどうかは、「いくらお金が貰えるのか」と同じくらい、「どんな経験が積めるのか」について訴求できるかどうかにかかっていると感じます。この点については大いに改善の余地があるのではないかと思っています。より突っ込んで言えば、総合職採用やめて事業部、少なくとも本部ごとに職種採用したほうがいいと思ってます。

・まだエンジニアに選ばれる会社ではない

プロジェクト説明の会議で上司にインフラはAWSを使うと説明した際に「AWSなんて上の人間はみんな知らないんだから説明のための補足資料をつけろ」と言われたことは衝撃的で忘れられません。
クラウドサービスが使えなかったり、Slackすら全社では導入されていなかったり、webサービス使うためには逐一決裁が必要だったり、エンジニアが働く会社として"普通にできて当たり前なこと"、"知っていて当然な知識"がまだまだ浸透していないということをは常々感じていました。セキュリティや情報漏えいへの配慮が行き過ぎた結果、生産性を上げることの出来るツールや仕組みの導入もなかなか進みません。
顧客以外にも多数のパートナーを抱える会社なので、仕組みを緩めることは難しいことは承知のうえですが、特にエンジニアにとっとは魅力的な環境とは言えないのだろうなあと思っています。(ぼくはエンジニアとは言えませんが)

これからどうするのか

Rの系列の位置情報ベンチャーで勤務します。
もう1度位置情報、GISと向き合う仕事に就きます。
SDKの開発のディレクションをしたり、位置情報データを使ったビジネスの企画に携わります。
受託開発から事業会社への転職なので、マインド含め苦労することは多々あることは覚悟して臨みたい思います。

このブログでも学んだこととかを記録するブログの側面を濃くしていきたいと思っています。(今まで通りフェスのこととか山下達郎のことも書いていきます。)

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引き続きよろしくお願いいたします。