cero Rising Sun Rock Fes 2018 ライブレポート
ceroのライジングサンへの出演は2016年、VIDEOTAPEMUSICと共演して以来2年ぶり。
前回出演時には映像演出があるという性格からか、キャパ的には狭いレインボーシャングリラで出演していた。前回と同様今回もレインボーシャングリラでの出演となった。
その時の様子のレポートを。
1.セットリスト
サウンドチェック:Waters
01: マイ・ロスト・シティー
02: 薄闇の花
03: Summer Soul
04: 魚の骨、鳥の羽根
05: TWNKL
06: Orphans
07: Poly Life Multi Soul
08: さん!
2.ライブレポート
開演前から満員に膨れたレインボーシャングリラ。サカナクションの真裏に当てられるという不運ながら、ceroのライブを見にたくさんのお客さんが集まる。
サカナクションがの演奏が始まる21:30。メンバーが全員ステージ上に集まってサウンドチェックとして"Waters"を演奏。
最新アルバムの楽曲はどれもアルバムの並びで聴いてこそ素晴らしい作品であるようにも感じて、ライブで過去の楽曲とどのように化学反応を起こすのか、楽しみにしていた。
ほどなく本番が始まり、最初の曲はマイ・ロスト・シティー!
意外な選曲に早速沸き立つ場内。自分も最初の曲は最新アルバムから"Modern Steps"などを持ってくるものだと思っていた。
続いては最新アルバムから"薄闇の花"。アルバムの中でもメロディーラインが追いやすい、ライブ映えする曲。前回のライジングサン出演時にはサポートに入っていなかった女性メンバー、小田朋美と角銅真実のコーラスワークが心地よく響く。
レインボーシャングリラは天井が閉じているライブハウスに近い空間のため、他のステージと比較すると明らかに音響的にアドバンテージがある。特にceroのようにたくさんの音がポリリズムで重なる音楽を堪能するにはベストなステージかもしれない。
"薄闇の花"のあと、間髪入れずに"Summer Soul"の印象的なイントロの音が響く。
ステージはエメラルドグリーンの照明で照らされ、観客にとってはおなじみのSummer Soulの合唱が始まる。
Summer soul=冷まそう=彷徨う=Cool Down、、、言葉遊びも秀逸でサマージャム'95に並ぶような気だるい夏のアンセム。
過去曲、新曲、過去曲と相混ざったセットリストだけれど、なんのことはない。このバンドによって演奏されればどの曲も最高に踊れる。
「ようこそお集まりいただきました、ceroです。ライジングサン20周年おめでとうございます。20年前、1998年、私は中学2年生で、犬の散歩などをしておりました。今はこうしてグループの散歩をしております!」(会場笑い)「それではもう少し散歩をします。」
短いMCを挟んで演奏されたのは最新アルバムから"魚の骨、鳥の羽"。アルバムの中でも最もポリリズムが強調されていて、前作Obscure Rideより更にドープになった黒いこの楽曲を演奏し、2018年の最新のceroを見せつける。
"TWNKL"に続いて演奏されたのは"Orphans"。ceroの中でも有数のグッドメロディなポップス。人気曲なだけあってこちらもイントロから湧く観客。
終日 霧雨の薄明かりが包む 白夜の火曜
折りしもこの時のライジングサンの会場ではこれまで経験したことがないような大雨が降って、レインボーシャングリラのテントの外は外なのに霧がかかって真っ白に見えた。
そういうシチュエーションにあって、この曲のベースラインに揺られていると今この場所だけ異世界に迷い込んだような不思議な感覚に包まれて聴き入っていた。
「ライジング・サン、こんな雨のなかありがとうございます。聴いてください、"POLY LIFE MULTI SOUL"」
演奏されたのは"POLY LIFE MULTI SOUL"。最新アルバムのタイトルチューンでもあるこの曲はアルバムの中でも最も気に入っている曲。
スタジオ盤でも十分に踊れる曲だが、ライブ会場で聴くこの曲は本当に圧巻。
アウトロで会場に鳴り響くのは人間が本能的に最も踊れるBPM120の4つ打ち。リズムトラックも楽器も全部バラバラに分解して再構築したようなアルバムの最後にこの4つ打ちが入ってくるのがまたニクい。
youtubeでFUJI ROCKのライブ音源が上がっていたが、この演奏でもスタジオ盤が物足りなく感じるくらいだが、実際のライブ会場で聴くのはまたもう一つ次元が違う。
機会があれば(なければ作って)ライブに足を運んでほしい。
この曲で最後かと思っていると、最後に演奏されたのは"さん!"。
ワンマンでもアンコールで演奏される定番のこの曲。My Lost Cityの持つ祝祭感に回帰して、ceroの1時間弱のステージは幕を閉じた。
ceroがこのPOLY LIFE MULTI SOULのリリース後のインタビューで、ceroのメンバーだけで完結するようなアルバム作りは完全に終わった、というような意味の発言をしていたが、それを痛感するようなステージングだった。
当然、バンドの根幹は高城昌平の声であり、橋本翼のギターであり、荒内祐のキーボードなのだが、他のメンバーにも完全に独立した形での役割が与えられており、現バンド以外でこの演奏が成立するんだろうかと思わせるようなライブの出来だった。
前回、2016年のライジングサンでは映像と音楽のケミストリーというアプローチで衝撃を与えてくれたceroだったが、今回はまさに音楽ド直球でこの日一番の感動を与えてくれた。
ワンマンでじっくり観る機会があるなら必ず行かなきゃ、と思わされるステージだった。