しげるlog

ライブやフェスのレポートと、主にAppleのガジェット情報を発信するブログ。

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フィッシュマンズ presents "闘魂2019" 2019.2.19 @Zepp Tokyo

1.セットリスト

[cero]

01. わたしのすがた

02. 魚の骨、鳥の羽根

03. Yellow Magus

04. TWNKL

05. レテの子

06. Buzzle Bee Ride

07. Waters

08. Narcolepsy Driver

09. POLY LIFE MULTI SOUL

 
[Fishmans]

01. あの娘が眠ってる (G,Vo 小嶋謙介)

02. Oh Slime

03. ナイトクルージング

04. なんてったの

05. 土曜日の夜

06. 頼りない天使

07. ひこうき

08. Smilin' Days Summer Holiday

09. MELODY

10. ゆらめき IN THE AIR

11. いかれたBaby

En-

12. Just Thing(Vo 高城晶平  Per,Cho 角銅真実)

13. Weather Report(Vo 高城晶平  Per,Cho 角銅真実)

 

2.ライブレポ

フィッシュマンズceroが対バンする、この一大行事の前哨戦みたいなイベントが実は2018年のライジングサンで一度実現していた。クラムボンceroフィッシュマンズと一続きでライブするという俺得な流れで、当然この会場に張り付いて全部見た。

ceroは個別にレポート書いたくらいの圧倒的なステージングだったし、

cero Rising Sun Rock Fes 2018 ライブレポート - しげるlog

フィッシュマンズのLONG SEASONやWALKING IN THE RYTHMは外の豪雨も相まって、本当に水槽の中にいるような感覚を味わった。

どちらもワンマンならもちろん、どこかの対バンとのライブでも絶対に観に行こうと思っていた矢先、この2バンドが対バンでライブするという情報が。ナタリーによる詳しい対バンに至る経緯がこちら。お互いのリスペクトがありありと伝わってくる。

natalie.mu

そしてフィッシュマンズの公式には欽ちゃんの意気込みが。

2019年2月19日(火)フィッシュマンズ presents「闘魂」開催決定。そして今回出演してくれるのはceroです!!彼らの存在はアルバム『Obscure Ride』でとても気になっていたのですが、今年リリースの最新作『POLY LIFE MULTI SOUL』で提示された新しい世界に、強く心を揺さぶられました。彼らと対バンできたらどんなに刺激的だろう・・オファーを受けてもらえたこと、本当に心から感謝しています。

来年は佐藤伸治が亡くなり20年。2005年以降、僕らはさまざまな形でフィッシュマンズの音楽を演奏してきました。サトちゃんが作った楽曲たちは、いつ演奏しても生きる力をくれるし、本気にさせる。彼が愛した”猪木イズム”的な気分を胸に、絶対にこの日にしか出来ないことをやりたいと考えています。ぜひ目撃しに来てください、どうぞヨロシク!! 

 

開演予定時間から5分くらい。先攻はCERO

1曲目から「わたしのすがた」を披露。CDの時の原曲の要素は残っているものの、2019年のCEROが演奏するバージョンへしっかりとアレンジされていた。

2曲目は最新のPLMSから「魚の骨、鳥の羽根」。女性2人のコーラスワークと現サポートメンバーの演奏が今やCEROを構成する要素として欠かすことが出来ないものになっていることを実感。

その後のセットリストも「YELLOW MAGUS」「Narcolepsy Driver」を除いてすべて最新のPLMSから披露。ライブで良く披露されていた「ORPHANS」や「SUMMER SOUL」がセットリストから除外されていた。

MCではFISHMANSへのリスペクトと、闘魂2019に自分たちが出演できることへの感謝を述べていた高城くん。

またMCではNHKホールでのワンマンライブを開催することを告知。スタンディングのライブと着席式のホールのライブはまた違うだろうといいながら、意気込みを示していた。

CEROのライブの締めは定番となった「POLY LIFE MULTI SOUL」で終了。

 

インターバルを経て後攻はFISHMANS

この日のZEPP TOKYOは本当に満員で、フロントエリアまで行けなかったのでPA付近から観ていたが、FISHMANSの陰のメンバーとして名高いエンジニアの ZAKさんのサウンドメイキングがすぐ近くで見られる位置だった。

本編の開始前に、真っ白な衣装に身を包んだFISHMANSのオリジナルメンバー(茂木欣一、HAKASE、柏原譲)が登場し、「フィッシュマンズのステージを始める前に、初期フィッシュマンズをやります!」と宣言し呼び込んだのはFISHMANSの結成当時のメンバーである小嶋謙介。そのまま4人でフィッシュマンズの初期の代表曲である「あの娘が眠ってる」を披露。楽曲の後半になると他のメンバーも合流していた。フィッシュマンズのステージを始める前に、というようにエクストラのイベントとして披露されたため、客電は付けっ放しで、結成当初のフィッシュマンズはこんな風にお客さんとの距離が近かったのかと感じさせた。

 

そのままメンバーはステージに残り、客電が落ちてライブ本編がスタート。SUNNY BLUEなどの楽曲をリアレンジしたSEから、1曲目は「OH SLIME」。この日のライブは全体的に「98.12.28 男達の別れ」のライブを下敷きにした演出が多くて、「OH SLIME」ではしっかりHONZI佐藤伸治も紹介されていて、この場にいないメンバーも全員含めてフィッシュマンズなんだ、という意志が示されていた。OH SLIMEでは「ボーカル、佐藤!」のコールからLONG SEASONのフレーズをサンプリング。

続いて代表曲「ナイトクルージング」へ。ステージ上の照明もほとんど落ちていて、唯一会場の上部に設置されたミラーボールにだけに照明が当たって会場を照らしていた。「なんてったの」に続いて演奏されたのは2015年のLONG SEASONの東名阪ツアーでも披露されていた「土曜日の夜」この曲はギターの木暮晋也を中心に、バンドメンバーの演奏がとても際立っており、FISHMANSの2019年のアンサンブルが一番感じられた曲だった。

 

「頼りない天使」ではこれまでのライブと同様に原田郁子がメインボーカルを務めていた。2011年にライジングサンでライブを見て以来、どのライブでも欠かさず演奏されているナンバーだが、定番になることも頷けるくらい原田郁子の声と、歌唱とマッチしていた。

ライブ終盤は「Smilin’ Days, Summer Holiday」-「MELODY」-「ゆらめき in The Air」-「いかれたBaby」と98年の男達の別れのセットリストをほぼトレースした内容で、「ゆらめき In The Air」では佐藤伸治のボーカルをそのままサンプリングして使用していた。

LONG SEASONツアーでは「いかれたBaby」の冒頭のアコギ弾き語りとボーカルを同じようにサンプリングしていたが、今回は「ゆらめき in The Air」が使われていた。

個人的に嬉しかったのはアルバムORANGEからのナンバーである「MELODY」。空中キャンプ以降のフィッシュマンズとは少し毛色の違う、まだ空中ではなく地に足がついたバンドサウンドであるORANGEがとても好きで、その中でも一番のお気に入りのナンバーが「MELODY」だ。「あと2時間だけ夢を見させて ホコリと光のすごいごちそう」のフレーズは全フィッシュマンズの詞の中でも白眉の素晴らしさだと思う。

 

本編終了後、アンコールではceroの高城晶平、角銅真実を加えて演奏。

欽ちゃんが歌ってほしいと思っていた曲と、高城くんの歌いたいと思った曲が、打ち合わせなしで偶然一致した、とMCされていた

「Just Thing」を披露。ラストナンバーは「Weather Report」を演奏して全編が終了。

 

この日のMCやいろんな媒体のインタビューなどで、欽ちゃんは「サトちゃんの作った楽曲は今聴いても古さを感じさせない。フィッシュマンズの音を鳴らし続けるのが自分のミッションだと思っている」という意味のことを言いつづけてきた。

2005年の復活以降、最初は夏フェスの1アクトとして、そしてライジングサンの大トリを経て2015年には東名阪のワンマンツアーを開催し、そして今年20年ぶりに対バンイベントの「闘魂」を復活させた。

この日のライブからも、フィッシュマンズはますます現役のバンドとして活躍を広げていくだろうことを実感した。ボーカルが急逝した悲劇のバンド、ではなくカッコいい音楽を鳴らし続ける現役のバンドとして、今後も追いかけていきたい。