しげるlog

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2018年マイベストディスク10選

 2019年も1ヶ月がもう終わろうとしているのに今更2018年の良かったアルバムを振り返ろうと思います。どうにも腰が重くてすみません。

今年もマイペースに、けれども辞めることなく更新し続けようと思います。よろしくお願いします。

10枚選んだものの、順位をつけるのが難しく、順不同で10枚を挙げました。

 

 

 

cero 「POLY LIFE MULTI SOUL」

順位をつけるのが難しいと言った舌の根も乾かぬうちに言うと、2018年のマイベストディスクはceroの「POLY LIFE MULTI SOUL」。

前作「Obscure Ride」ではD'AngeloのVoodooにオマージュと言っていいくらい近接した音を鳴らして、ブラックミュージック流行時代の先鞭をつけたcero

本作も前作の流れを汲んだものになるかと思っていたら全く新しい、ジャンル分け不能な音楽を引っさげてきた。とくにリズムトラックは複雑に分割され、ポリ・リズムを刻んでいるため、一聴すると何がなんだかわからない不思議な感覚に襲われる。

ceroの特長のひとつだった追いやすいメロディーは少し影を潜めていて、前作の「Summer soul」「Orphans」のような分かりやすく人気の出そうな曲は今回は見当たらない。初めてceroを聴く人に勧められる1枚なのかと聞かれるとNoなのだが、何度も聴いている内に作り込まれたトラックの魅力にやみつきになること請け合い。

本作の真価が発揮されるのは間違いなくライブで、これだけ作り込まれた楽曲群であるにもかかわらず、スタジオ盤以上にタイトな演奏を聴かせてくれる。Youtubeでワンマンライブのクライマックスであるタイトルチューン「Poly Life Multi Soul」のライブ音源が上がっているが、生で聴くと没入感はこんなもんじゃない。機会があったら絶対ライブに行ってほしいくらい、今のceroは必聴だと感じている。

 

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星野源「POP VIRUS」

前作「YELLOW DANCER」が10年代を代表する名盤といっていいくらいの出来で、それを超えるような作品なんて出てこないだろう・・・と思っていたらすごく自分好みのが出てきた。

星野源自身が収録曲を「すべてダンスミュージック」と話した通り、前作で確立された"イエローミュージック"を貫きつつ、その音楽を様々な方法論で実現したという感想。朝ドラの主題歌として採用された先行シングル「アイデアからして面白い。

1番のイントロ〜サビまでは河村"カースケ"智康のドラムが印象的なトラック。ところが2番になると急に電子ドラムへ切り替わり、その後アコースティックギターの弾き語りパートが入り・・・と曲構成自体がアイデアに満ちたものになっている。

「Dead Leaf」では自身初のドゥー・ワップに挑戦。バックグラウンドコーラスは山下達郎が担当(!)している。山下達郎ツアー中にオファーがあり「ツアー中は出来ない」と固辞したところ、ツアーが終わるまで待っているからと言われて実現したコラボとのこと。

星野源自身が確立した"イエローミュージック"に、細野晴臣山下達郎など日本のポップシーンを担ってきた先人のエッセンスを取り入れ、より昇華させようという気概に溢れた一枚。

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宇多田ヒカル「初恋」

シンプルでミニマルな歌唱とバックトラックで淡々と曲が続いていくように1回聴いて思った。今度は歌詞カードを見ながらすこしゆっくり聴いてみると、こんなにも露骨な歌詞をあんな淡々と唄っていたのかと驚いた。

好むと好まざるとにかかわらず宇多田ヒカルのプライベートなニュースは耳に入ってくる。そういったバックグラウンドのインプットが多少なりともあるため、純粋に音楽そのものっていうよりは「宇多田ヒカルの」作品として色眼鏡をかけて聴いているのだと思う。聴いたあとポジティブな気持ちになるというよりはどんよりした暗いネガティブな気持ちになることのほうが多かった。通勤の行きではちょっと聴く気にならない・・・だけどiTunesの再生履歴を見返すと、このアルバムは2018年たくさん聴いていたことが分かる。

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大橋トリオ「STEREO」

晴れた休日の午前中にコーヒーでも飲みながらのんびりと楽しみたいような1枚。

高揚感を煽るような作品ではないけれど、大橋トリオらしい多国籍な音が詰まっていて、ますます磨きがかかった良いメロディーを引き立てている。

CMに使われた「SHE」やTV番組"世界遺産"のテーマ曲になった「鳥のように」など、大橋トリオを聴いたことのない人でも聴いたことのある曲もあるかと。

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七尾旅人「stray dogs」

七尾旅人ってミュージシャンは本当に掴みどころがなくて、「八月」「サーカスナイト」のような一聴するだけで名曲って伝わってくるような圧倒的な美メロと歌声で魅せることもあれば、何度聴いても自分のような凡百には理解できないようなノイジーな曲を聴かせてくれたりもする。本作「stray dogs」は過去作品と比較しても最も七尾旅人の優しくてとっつきやすい側面にフォーカスした作品と言っていいと思う。

「迷い犬を探して」は2018年を代表するといっていいくらいの名曲。「スロウ・スロウ・トレイン」や「蒼い魚」も出色の出来。

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折坂悠太「平成」

2019年を持って終わる「平成」をタイトルとして掲げた作品。

折坂悠太自身が平成元年産まれだそうで、自身の生きてきた一時代の集大成として作った作品。

平成と銘打たれているけれど、同世代でよく見るようなテレキャスをかき鳴らしながらキンキンのハイトーンで歌うのとは対局に位置する作品。平成というより昭和歌謡な雰囲気を感じる。

ジャズ、フォーク、ラテン、シャンソン、ブラジル音楽、さらにはヒップホップの要素も覗かせる多彩な曲が並び、折坂のヴォーカルも表情豊かな声使いから、
語り、スキャット、ポエトリー…とこれまで以上にバラエティ豊かな変化で聴かせる

「平成」「さびしさ」が個人的なベストトラック。

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くるり「ソングライン」

全員が揃っていなければ自分たちと言えない、といって2020年末の活動休止を発表したアイドルグループのように、メンバーそれぞれがそのバンドである所以を担っているようなグループと、

コアが変わらなければメンバーは枝葉であるようなバンドと、大きく分けて世の中のバンドは2つに大別されていて、くるりは後者の代表格だと実感していた。

カメレオンバンドと言われるくらい作品ごとにテーマや音楽性が変化していくくるりのキャリアの中では、今回の「ソングライン」は比較的シンプルな音楽だった。

前作「THE PIER」ではシタールやサズといった民族楽器を使って、異国の音楽のような新鮮なサウンドを奏でていたけれど、「ソングライン」ではそういった違和感や異国感は控えめになっていた。だからこそくるりの本領であるメロディーや歌詞が際立つ1枚になったと言えると思う。

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WANIMA「everybody!!」

結婚して子どもが出来て、昔みたいに休みの日はスピーカーでずっと音楽をかけているような生活はできなくなった。音楽を聴く環境って車の中とかが多くなってきて、それがゆえにスラッシュビートに歪み系のギターが乗っかるようなBPM早めのロックを聴く機会って減っていたんだけれども、WANIMAの本作はそういう人でも耳を傾けるくらいの圧倒的なグッドメロディな曲が並んでいる。

auのCMソングとしてお茶の間で流れる「やってみよう」や「ともに」などいずれもポジティブでパワーのある楽曲だらけ。近年はライブもドーム級の会場でやってるって聴くけれど、それも頷けると思わせられた。

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レキシ「ムキシ」

池田貴史のソロプロジェクトのレキシ。すっかり有名になっていて、以前はZEPP TOKYOとかだったらライブのキャパも横浜アリーナ大阪城ホールへ。

今作もレキシらしい遊び心のある、オマージュに溢れた一作。80's某海外ロックバンドのPVの完コピと言っていい「KATOKU」が個人的ベストトラック。

大老、出島、鎖国西郷どん・・・今作は江戸〜幕末時代がテーマだったんだろうか。

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