山下達郎 シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012
山下達郎のシアターライブのライブレポです。
以降の記事はセットリストを含むネタバレが書かれています。
未視聴の方はご注意ください。
1.セットリスト
01. SPARKLE (1986.7.31@中野サンプラザホール PERFORMANCE '86)
02. LOVELAND, ISLAND (1986.10.9@郡山市民文化センター PERFORMANCE '86)
03. メリー・ゴー・ラウンド (1985.2.24@神奈川県民ホール PERFORMANCE '84-'85)
04. SO MUCH IN LOVE (1986.10.9@郡山市民文化センター PERFORMANCE '86)
05. プラスティック・ラブ (1986.7.31@中野サンプラザホール PERFORMANCE '86)
06. こぬか雨 (1994.5.2@中野サンプラザホール Sings SUGAR BABE)
07. 煙が目にしみる (1999.2.4@東京・NHKホール PERFORMANCE '98-'99)
08. ずっと一緒さ (2008.12.28@大阪フェスティバルホール PERFORMANCE 2008-2009)
09. DOWN TOWN (2008.12.28@大阪フェスティバルホール PERFORMANCE 2008-2009)
10. 希望という名の光 (2012.4.1@神奈川県民ホール PERFORMANCE 2011-2012)
11. 今日はなんだか (2010.10.27@神奈川県民ホール PERFORMANCE 2010)
12. アトムの子 (2012.4.30@大宮ソニックシティ PERFORMANCE 2011-2012)
13. RIDE ON TIME (2012.4.30@大宮ソニックシティ PERFORMANCE 2011-2012)
14. 恋のブギ・ウギ・トレイン (2012.4.30@大宮ソニックシティ PERFORMANCE 2011-2012)
15. さよなら夏の日 (2010.8.14@石狩湾新港樽川埠頭横 野外特設ステージ RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO)
2.ライブレポート
動いている山下達郎を見る方法は少ない。1つは直接ライブに行ってお目にかかること。そしてもう1つはライブアルバムJOYの発売時の販促ビデオで画質が悪い中確認することの2択だ。公式にはDVDやビデオの類は一切発売されていない。
そんな達郎さんの動いている姿を見られる貴重な機会がこのシアターライブ。2012年に上映されており、今回竹内まりやの40周年にちなんで期間限定での復活を果たした。
2012年の上映時に見逃していたため、この機を逃さずに日比谷のTOHOシネマズへ。
上に貼ったゴジラはTOHOシネマズの待合所に飾られていた。
音源ですらライブを全曲フルで流すことはない、自らの演奏にも厳しい耽美派の達郎さんが自らチョイスしたシアターライブだけあって、音質も演奏も最高で、どの曲を切り取っても見どころが満載だった。
この中の1曲でもyoutubeにアップすればファンが激増しそうなくらい。。。
オープニングはpocket musicやRay of Hopeなどのアカペラチューンをつなぎ合わせながら、Performance 2012のものと思われる舞台の設営風景をタイムラプスで上映。
達郎さんやバンドメンバーの楽屋入り〜気合い入れ〜ステージへ歩いていく達郎さんのバックショットを経て、一瞬の暗転ののち始まったのはお馴染みのSPARKLE。
日本一有名なカッティングギターのイントロから、ドラム、ベース、キーボードが一気にドーンと音を出す瞬間。この瞬間だけでも達郎さんのライブは直接観る価値がある。
86年当時の映像だけあって、映像は映画館で観ると少し粗さが目立つ解像度だったものの、サウンドの方は圧巻。今でもファンから惜しむ声が止まない青山純さんのドラムだけれど、シアターライブでもその迫力は圧巻。スネアやバスドラムの1つ1つの音がドスドスと響く。後半のライブ映像は今でも達郎さんのバンドメンバーの小笠原拓海くんの演奏だが、1音の重さ、キレの良さの違いは一聴してわかるほど。
このテイクはライブアルバム「JOY」にも収録されているテイクだけれど、シアターライブで映像付きで見ると、何十回も聴いたはずの音源でも鳥肌が立つくらいの感動があった。
2曲目のLOVE LAND, ISLANDも「JOY」に収録されたものと同テイク。80年代の達郎さんは言うまでもないことだけれど若い!今はライブの際は必ずバンダナを着用しているけど、このときはまだ長髪をなびかせてステージに立っており、この姿は今ではライブに行っても見られない貴重なお姿か。
ホールでのライブではモニターはついていないので、シアターライブを観ていて見入ってしまったのが達郎さんやバンドメンバーの演奏している手元。ギターの弾き方も今と比べるとかなりワイルドで、ギターのピックガードにかなりピックが擦れた痕が残っていた。楽器の扱いも今よりワイルドだったようで、御本人曰く「ガラパゴス」の拡声器を使ったパフォーマンスの際にギターがギタースタンドからコロリと転げてしまっており、ローディーさんが慌てて駆け寄ってくる姿が映像に残されていた。
3曲目は三たび「JOY」の同テイクでメリー・ゴー・ラウンド。ファンキーなイントロから始まるこの曲、直近では2017年にライブで披露されているけれど、2010年代に鳴らすサウンドと、80年代の当時のサウンドで比べても全く古さを感じさせないのが素晴らしい。
SO MUCH IN LOVEも冒頭3曲と同じくPERFORMANCE '86からのカットだが、CDには未収録のナンバー。達郎さんのアカペラは今でも素晴らしいけど、80年代のこの頃の高音の伸びも改めて素晴らしい。
5曲目のプラスティック・ラブは再度ライブ・アルバム「JOY」からの収録ナンバー。この曲は海外のリスナーの評価も高く、竹内まりやのオリジナル曲がyoutubeですごい再生回数になっており、最近ではTofubeatsがカバーしているような、2019年現在でも熱量が全く失われていない曲。2012年のシアターライブの初出時点ではそんな未来は知る由もないはずがしっかりこの曲が収録されているところに先見の明を感じる。
この演奏は'86の7/31の演奏から取られたテイクだが、以前ラジオで「JOYじゃない」バージョンとして7/30のテイクが披露されたことがあった。達郎さんが多忙の中でもしっかりマスタリングをしなおした曲で、ラジオのエアチェックで終わらせておくのは勿体ない出来だったので、いつかこちらのテイクも日の目を見ることを期待したい。
7/30版も演奏のテンションは最高で、なぜ「JOYじゃない」んだろうと何度も聴き比べたが、ラストのアウトロのコーラスがワンテンポだけ入るのが遅れているのが原因?
6曲目以降は90年代以降のテイクに以降。1999年のNHKホールの「煙が目にしみる」はSO MUCH IN LOVEと同じくアカペラの曲だが、歌唱力のあまりの凄さに圧倒された。
インタビューなどでもこの「煙が目にしみる」のG#がでなくなったらやめる、と答えるくらい自身のバローメータにしている曲だけに、会心のテイクを選んだんだろうけれど本当に素晴らしかった。
山下 むしろ若い時にこそ、そういう達観主義が必要だと思ってた。本当にダメな時にどう凌(しの)ぐかを想定できれば、怖いものがなくなる。どう努力をするかはその先のことで。たとえば声はどんなに頑張っても出なくなる時は来ます。僕はライブでキーを下げたくないし、プロンプターも使わない。「煙が目にしみる」のGシャープのロングトーンが出なくなったらやめます。
次曲以降はライブを本格的に再開した2000年代後半以降の演奏が続く。
希望という名の光では、2011年の東日本大震災を踏まえた曲内のMCをノーカットで収録しており、このシアターライブで最も伝えたいところはここだったのかなと感じさせた。
アトムの子では曲の間にいろいろな演出をカットインするのが近年のライブでは高齢化しているが、2012年はドラえもんだったらしく、達郎さんが歌うドラえもんの曲が聴ける。版権とか大丈夫なんだろうか・・・
「はい、タケコプター」のセリフでコーラスの方にしっかりタケコプターをもたせる演出の細かさは思わずニヤリ。
恋のブギウギトレインは昨年のPERFORMANCE2018でも演奏しており、そのときにもキレキレのカッティングを披露していてびっくりしたけど、それと同じアレンジが既に2012年のライブのときから取り入れられていたのも今日観て初めて知った。
(以下は2018年のライブレポ)
山下達郎 Performance2018@2018.06.29 NHKホール ライブレポート(ネタバレあり) - しげるlog
ラストナンバーはRISING SUN ROCK FES2010のときのさよなら夏の日の映像。
このときのライジングサンの出演に達郎さんも大変満足してくれたようで、その後も定期的にRSRへ出演してくれているのは周知のとおりだけれど、実は自分はこのときの達郎さんのライブを観て山下達郎ファンになった、いわば初体験&思い出のライブだった。その時の映像を観られるのはグッと来るものがあった。
恐らく外にだすことを想定していなかったので、カメラワークでは画面の2/3がお客さんが写ってたり、演奏を聴いて泣いてるオーディエンスのお姉さんがしつこく抜かれていたり、といったところはあるものの、愛おしそうにハンドマイクでRSRのステージを闊歩する達郎さんの姿は、今後別の機会で観ることも出来ないだろう光景のため、目に焼き付けた。
すべてのライブ音源が終了し、映像は再び2012年の大宮ソニックシティへ。(たぶん。3階席なかったので神奈川県民ホールやNHKホールではないはず)
Your EyesをCD音源でアウトロ&スタッフロールとして流し、ラストカットはライブ終了後、ホールを後にするお客さんを舞台視点から見ている映像でシアターライブは終了。
恐らく今後もDVDなどで動く達郎さんを観ることは叶わないだろうことが予想されるため、とても貴重な機会だった。またアンコール上映をしてくれる機会があれば、1800円の映画代は安いものだと思えるくらい音響/映像ともに素晴らしいライブだった。
その他の山下達郎ライブレポートはこちらから
okamotokamakura8280.hatenablog.com
okamotokamakura8280.hatenablog.com
okamotokamakura8280.hatenablog.com